【完】狼ご主人様と子羊ちゃん





どうしてあんなにも機嫌が悪いのかわか
らなくて。



その場から動けずに居たら。



「早くこっち来いよ。命令だ」



なんていうから、まさか逆らうことも出
来ずにたどたどしく彼の元へと向かう。



「……帰るぞ」



てっきり何か言われるんだと思っていた
から、ただそう言われて腕を掴まれただ
けで拍子抜けしてしまった。



別に、怒ってるんじゃないのかな……?



しかし、安心したのも束の間、学校から
出てしばらくした所で。



ピタリと辻宮は足を止めると、振り向い
て私を見下ろした。



その時の瞳があまりにも冷たくて、思わ
ずすくむ。



「───……お前、どうして言わなかっ
た」


「……え?」



なんのこと?