あの時、なにも言えなくなった。
身動きすら、出来なくて。瑠璃が居なか
ったらどうなっていたかわからない。
ふと、瑠璃を見れば、仁王立ちになって
腰に両手を当てていて。
眉をつり上げながら、怒ったような表情
を浮かべていた。
美人さんの怒り顔っていうのは、逆にす
ごく怖い。
「あんなの、美里じゃないっ!」
「───……え?」
急にそんな風に怒鳴られて、訳がわから
ず首を傾げてしまう私。
「なんであんな失礼な女になにも言い返
さないの!?美里はいつも猪突猛進って
感じなのがいいのに!」
誉め言葉なのかも危ういその言葉に、思
わず苦笑いしてしまう。
猪突猛進って……。
確かに、自分の気持ちには素直な自分だ
からそう思われても仕方ないし、実際そ
うだけど。


