───音宮縁。



その名前を理解するよりも先に、黒髪を
靡かせて教壇にたった美少女。



大きな二重瞼の瞳。

艶のあるロングヘアー。

スカートや裾から覗く肌は透き通るよう
に白く、まるでお人形さんのような女の
子だった。



「陸人のパートナー兼、恋人の音宮です
。よろしくお願いします」



口元だけ、緩やかに弧を描かせ、微笑し
た少女。



その名前と、パートナーの常山くんの名
前とで、全てを悟った。



この人、辻宮が言ってた───……。



ふと、あの日の出来事を思い出して、胸
が締め付けられたように痛んだ。



辻宮は知っているだろうか───



「おい、縁」


「良いじゃない。本当の事なんだから。
今時、パートナー同士で恋人なんて普通
よ」