自意識過剰?自惚れ?―――そうだな。
あの頃の俺は、すっかり縁に溺れてしま
って、冷静な判断と観察力が消えていた
んだろう。
夜7時。
縁を迎えに行くと、縁は……縁は。
「もう、恋人ごっこはやめにしない?」
嘲笑うかのように、そう言ったのだ。
コイビトゴッコ?
縁の言葉の意味が、理解出来なかった。
「縁……何言ってるんだよ、お前」
「何って、言葉のまんまじゃない。恋人
のふりするのは、疲れたの」
ふり……?
驚愕して何も言えなくなった俺を、縁は
冷たい視線で見つめた。
「まさか私が、本当にあんたに惚れると
でも思っていたの?」


