珍妙な回答だと思った。縁が選んだのは
、五千円程度の旅行バッグだった。
「そんなんでいいのか、縁」
それにそのバッグだって、ブランド品だ
とか、デザインが縁好みだとか、そうい
う訳でも無いのだ。
普通に、無地の紺色のバッグ。
だからこそ、不思議でならなくて、そう
尋ねてしまった。
だけど縁は、ただ微笑むだけだったが。
―――そしてその夜、俺は人生最大の屈
辱と悲劇を味わうのだ。
縁をご飯に誘うと、快く承諾してくれた
。
時間になったら縁を迎えにいく、と縁に
言い渡し、俺は今夜の事を考えていた。
縁は、俺と婚約してくれるだろうか。
だけど不安じゃなかった。俺と婚約して
、損なんかないだろう、と思っていた。


