偶然にもその年の最終審査のお題は、家
庭的さを求めるような物だった。
手縫いで巾着を作る、というなんともシ
ンプルなもの。
最終審査に残っていたのは、縁と、それ
から他二人。
縁は手早く布と針を準備すると、なんの
迷いもなしにそれらを縫い付けていった
。
他の二人が戸惑うなか、縁だけは、洗練
された手さばきでそつなくこなしていっ
たのだ。
その繊細さに、俺はまた惚れてしまう。
こんな極上の女、どこにもいない、と思
った。
手放すのは惜しい、と思った。―――い
や、手放すつもりなんてなかったのに。
『クイーンは……縁さんです!!』
予想通りの結果だった。
スポットライトを浴びた彼女は、微笑み
ながら。


