だから翻弄されてしまう。 逆らえなくなってしまう。 「だ、ダメです!」 「―――なんで?」 きょとんと首を傾げる辻宮を、唖然とし て見つめる。 むしろキスしていいか、とか、恋人でも なんでもないのに訊いてくる意味がわか らない。 「そういうのは……好きな人とするもん ですよ……!」 自分で言ってて、僅かに胸の奥が鈍く痛 んだことに私は気付かなくて。 ただただ、恥ずかしくて、顔から火が出 そうだった。 そんな私の反応を楽しむように、辻宮は クスクスと笑う。 「お前、可愛い」