ぎゅっと腰に回された腕が、微かに震え
ていることに彼は気付いてるだろうか。
唇が震えてることを知ってるだろうか。
「お前は……違うよな?」
「へ……」
「お前は―――……俺を都合のいい人間
だと、思わないんだろ?」
低く掠れた声は、きっと抱き締められて
いなかったら聞こえないほどの大きさ。
だけど、しっかり届いた。聞こえた。
彼の悲痛な叫びが。
寂しい心が―――……。
だから私はちょっと笑った。笑ってやっ
た。嘲笑いにもにている笑みを見せた。
あんた、バカじゃないの?って。
そんな心配、杞憂にすぎないのよって。
「当たり前じゃないですか。私は貴方と
一番関わりたく無かったんですから」
「……酷いな、それ」


