【完】狼ご主人様と子羊ちゃん





ぎゅっと腰に回された腕が、微かに震え
ていることに彼は気付いてるだろうか。



唇が震えてることを知ってるだろうか。



「お前は……違うよな?」

「へ……」

「お前は―――……俺を都合のいい人間
だと、思わないんだろ?」



低く掠れた声は、きっと抱き締められて
いなかったら聞こえないほどの大きさ。



だけど、しっかり届いた。聞こえた。



彼の悲痛な叫びが。

寂しい心が―――……。



だから私はちょっと笑った。笑ってやっ
た。嘲笑いにもにている笑みを見せた。



あんた、バカじゃないの?って。

そんな心配、杞憂にすぎないのよって。



「当たり前じゃないですか。私は貴方と
一番関わりたく無かったんですから」

「……酷いな、それ」