可笑しいのは私じゃない。
「可笑しいのは……ご主人様をそんな目
でみる人です」
「ああ……そうだな」
辻宮は微かに笑うと、顔をあげてその潤
んだ瞳を私に向けた。
泣きそうで寂しそうな、子供みたいな瞳
。
胸がきゅっと締め付けられる。
「美里、おいで……」
辻宮は突然そう言うと、両手を広げて私
を招いた。
私は犬かなんかか、と思いながらも、そ
んな彼の甘えたような声に逆らう事も出
来ず、おずおずと彼の前に立った。
するとその瞬間、引き寄せられた身体と
、フワッと鼻腔を満たす柔軟剤の匂い。
辻宮に抱き締められてると気付くのにさ
ほど時間は要らなかった。


