こうして立っていられるなら、俺は。も
う前を向けているのだろうか。



そう信じたいのに、心のどこかでまだ、
それを拒絶する自分が居た。



美里をからかっているのはいつも、きっ
と深入りしないためだった。



誤って、恋心でも抱いてしまわぬように
、軽い気持ちで彼女と接してる。



もう女なんか信じない。



そんな風に思った時のあの感情を、忘れ
られるハズもない。



俺が初めて絶望し、自分の出で立ちに泣
きたくなり、初めて。



―――誰かを殺したいと呪った。