私の家は小さなアパートの一室。 こんな小さくて、人目につかないような家には誰も寄り付かないわけで。 この十六年、誰に理解もされなかった私は一人にも慣れ切っていた訳で。 本だけが友達だった。 本の中の世界にいる間は、苛められないし、好きなことを想像できて、私もこの世界の住人ならいいのに。 そうやって逃げていた。 苛めとか嫌がらせとかの、濁った闇の世界から逃げていた。