「お前さ、俺のこと知ってるよな?」 「えっ…」 「お前の名前は?!」 少し目を泳がせてから小さい女は言った。 俺の思い入れのある大切だった子の名前を。 「―――村石…ちこ…」 「っ!!」 息が苦しい。こんなに…こんなに近くにいたのに。 「ねぇ…間違ってたらごめんね…。 こーたちゃん?」 深く深呼吸をしながら細い肩を掴んでいた手を放した。 「…あぁ。…久しぶりだよな…ちぃ」 ちぃ。これが幼いころに呼んでたコイツのあだ名だった。 ちぃは少し泣きそうに笑った。