本能で恋を






「……おい、愛歌」



親たちの会話をBGMにし、『料理来ないかな~』と考えながらケータイをいじっていると、目の前の葉月君に呼ばれた。


意外に低い声してるんだ~………ってコイツ……今呼び捨てにしたな。


こっちが『葉月君』と呼ぶのを馴れ馴れしいと思っていたのに、
まさか呼び捨てされるなんて…


眉を寄せながら顔を上げて葉月君を見れば、
「ぷっ…機嫌悪そう」
なんて呟いた。


それが機嫌悪そうな人間に対する態度か…


「何」

機嫌悪そうと言われたので、機嫌悪そうな声音で答えると、

「何やってんの?」と言いながらケータイを指さしてきた。





「暇だからゲーム」

また画面に目を向けて言う私は、最近友達に教えてもらったサイトの無料ゲームをしていた。


今流行りの脳トレが簡単に出来るゲームだ。普段真剣になってやらないが、こうやって暇なのにやる事が無い時には便利だ。