今日も私は、キョロキョロと周りを見回しながら走る。
葉月君とは未だに向き直れない。
彼に会ったら…彼と話したら…
私の中で何かが変わって、私じゃなくなる……
彼をチラッと見た瞬間に何か言いたくて、口から出そうになる。
何を言うのか分からなくて、
それが何だか怖くて……
本屋さんの奥で、本棚を眺める。
小説が並べられたそのスペースで、ずらっとならんだ題名を見ていた。
『あなたに伝えたい事』
そんな題名の本に目を取られた。
本を取ってパラパラとめくると大きな文字で、
『この世であなたに出会えた事は奇跡です』
とあった。