「でも、彼は時間を過ぎてもなかなか来なくて、
流石に心配になって電話したの。
そしたら出たのは病院の人で………
彼は、私に会いに来る途中に事故に巻き込まれて、意識不明のまま病院に運ばれて……
でも、間に合わなくて命を引き取ったの。
病院でね、血だらけの彼の持ち物があって、
そこには…数年前に見た指輪もあったの。
後日彼の友人から聞いた話で、『綾がいつ結婚をOKしてくれても直ぐに渡せるように、いつも指輪持ち歩いているんだ』って彼は言ってたんだって……
こんな事なら…自分の仕事が忙しくても、彼がプロポーズしてくれた時に結婚すれば良かったって後悔したの……
彼と結婚生活を送ってみたかった…彼の喜ぶ顔が見たかった…
後悔してからじゃ遅いけどね……無くなってから大切なものの大きさに気付くのが人間なんだよ」
先生は話しながら涙ぐみ、話し終わってからは少しすっきりした顔をした。

