本能で恋を






慣れた道を進んでいくと、後ろからの足音がして「待てよ」と腕を掴まれた。


「っ!?」



それが葉月君であり、学校まで来た彼だから追い掛けて来るだろうとは予想していたが、

何故だろう……腕を掴まれた瞬間、脈を打ったように熱くなった……


でも、それが弱点のようでバレるのが嫌で平然を装って振り返る。




葉月君はやっぱり不機嫌な顔だった。



そんなに何か気に食わないなら、私に構わなければ良いのに。


そう思いながら深く溜め息を吐く。


「何?」

私も負けないくらい不機嫌な声と顔で答えた。






「待ってたんだから逃げんなよ」


強引で派手な待ち方とは言え、葉月君は私に用事があって待っていたのだろう。


ならば要件を聞いて、さっさと帰ろう。