本能で恋を





ああ………頭が痛い……



「一緒に見に行こう!」


と腕を引っ張るセナと下駄箱まで行けば、そこから外に出て門の方まで、ちらほらと女子が固まり一点に目が集中している。





なんだこれは……なんだこの光景は……




横を通り過ぎる時、女子の顔を見れば、皆頬を染めながら熱い視線を送っている。


これは俗に言う『恋する乙女』とか『憧れ』の目線ではないだろうか……

以前、先輩に恋していた友達がこんな目で先輩を見ていた。






もし、この沢山の目線を独り占めしているのが葉月君なら、何かモヤモヤする。

何故かわからない。

昨日は私と一緒に時間を共有していたのに、急に遠くの人になった気がして……



もしかして、昨日の仲間が今日には注目されていて、
上手く言えないが今まで成績が同じだったのに、急に自分より成績が良くなった友達を見ているような感じなのだろうか……?


わからない。


でも、この目線の先が葉月君では無い事を願ながら、セナに続いて歩いていった。