本能で恋を




今日、自分の会話で精一杯だった親たちが、私たちの様子をチラリとも見ていたのかはわからないけど、

私たちは少し会話を交わしゲームをしていたくらいで、ご飯中もその後も話なんてしていないし、
第一『孫』とか親の口から出るほど仲良くなっても居ない。
精々『知り合い』程度だろう。





この際だから葉月君にも承認を得てハッキリ言おうと、私は盛り上がる母2人の会話に入る。


「あのね、言っときますけど、今回は顔合わせに来ただけで、今後どうとか無いから。

会うのだって今日だけだし。私だってそうだし、葉月君だって私と付き合う気も結婚する気も無いから。
ねっ、葉月君」



同意を求めるように近くに居た葉月君へ話を振る。



そこで『そうだ』とか、『付き合う気ない』とか言ってくれれば、親は諦めるだろう。

子どもたちがその気がなければ、親たちも円満にこの話を終了できる。









しかしながら返ってきたのは…………






「は?俺はその気あるし」

と、不機嫌な口調の葉月君の言葉だった。