「へ~、貸して」
ニヤッと笑ったまま葉月君は言う。
『何コイツ…』と思ったが、「代わりに俺の貸すよ」と、自分のスマホを私に寄越した。
そこには定番のパズルゲームが表示されていた。
懐かしさもあり、私は自分のケータイを渡して、葉月君のスマホでゲームを始めた。
自分の普段やっているゲームとは違い、人のゲームとは何故か面白さがある。
暫くやっている内にまた葉月君から「愛歌」と呼ばれる。
ゲームを共用した事により、さっきまで葉月君に向けていた不機嫌さは無くなり、「ん?」と顔を上げれば、嬉しそうにケータイの画面を見せる葉月君。
そこには、葉月君のやった脳トレの脳年齢が表示されていた。
年齢ピッタリのその数字に私は眉を上げた。
やり込んでいる同級生でも、このケータイの持ち主の私でも、こんな年齢ピッタリの数字なんて出た事無いのに……
しかも、私なんて初めてやった時『38歳』と表示されてた。

