結婚すること 和音ちゃんには知らせておこうと その夜 彼女に電話をした

電話に出たのは 珍しく高志さんだった



「お久しぶりね 元気にしてた? 和音ちゃん忙しいのかな 

話したいことがあるんだけど」



そう告げると 困ったような返事が返ってきた



「和音 具合が悪くて 今 寝てるんです」


「そうなの ごめんなさいね 大丈夫?じゃあ また電話するわね」



そう言って電話を切ろうとしたとき 電話の向こうで和音ちゃんの声がした


”だぁれ? 円華さん? 替わって うん 少し気分が良くなったから大丈夫”



「和音ちゃん 風邪でもひいいたの? 急ぐ用事じゃないからいいのよ」


「うぅん 大丈夫です いつものことだから」



ふと頭をよぎったこと もしかして



「もしかして アナタ おめでた? ねぇ そうでしょう!」


「うん 実はそうなの」



3ヶ月目に入ったところだと 嬉しそうに教えてくれた



「昼はそうでもないの でもね 高志さんの顔を見ると 

とたんに気分が悪くなるの

笑っちゃうでしょ?夕食後の片付けなんて 毎日やってもらってるし 

なんだか申し訳なくて」



実家を遠く離れて お互いをいたわりながら 頼りながら 

そうやって過ごしてきたんだね


結婚することを告げると とても喜んでくれた 

声がかすれている 

涙もろい彼女のことだ きっと顔は涙でいっぱいだろう



「円華さん 聞いてもいいかなぁ 工藤さんといくつ違うの?

ちょっと年下なのとは聞いたけど」


「そうだっけ? んーとね 実は・・・8歳下なの」



和音ちゃんは ”えーーっ!!” と言ったきり沈黙

そんなに驚かれると 私どうしたらいいのよ



「円華さん 工藤さんって高志さんより年下よ 若いご主人なのね 

私妬けるわぁ」



もう この子ったら何を言い出すかと思えば

あとは二人で大笑い 


和音ちゃん ありがとう