新茶の香りが漂ってきた

この香り 爽やかで 新鮮で・・・

気持ちが落ち着いてくる



「まずは 慌てず 急がず お茶の一杯でも飲んでから事を始めなさい 

そう言うのよ 知ってる?」



私は黙って頷いた



「円華 考え込まないの 自分の物差しで考えちゃダメよ よーく考えてみて 

工藤さんのお母さんが アナタにお会いしたいっておっしゃったんでしょう?

アナタのことをお聞きになって それでも会ってみたいと思われたのよ

それって 円華に好意的だということじゃないかしら?」



えっ?好意的?

そんなこと 考えてもみなかった



「工藤さんだってそうでしょう 

円華とのことを真剣に考えてるからお母さんに話をした

そうでなければ 親に会ってくれなんて言わないんじゃないの?

いずれは 結婚の話だって出るはずよ

どお? 円華 少しは話が見えてきた?」





自分の部屋に戻って 母の言葉を思いだす

母の話を聞いたら ウジウジ悩んでこだわってる自分が可笑しくなった


”工藤さんだって 円華のことを真剣に考えてるから・・・”

”結婚の話・・・”


要 そうなの?

本当にそうなの?


だけど 私と結婚まで考えてるかどうか

そんなこと言われたことないし


でも お母さんに会って欲しいって そう言うことだよね

そうかも・・・そうだよね!

年の差がなんだっていうのよ

要がいいっていうんだから いいんだ

そうよ そうよ


うふふ・・・要と結婚したらどんな生活だろう

同居だろうなぁ でも それでもいい

ご両親と彼は離して考えられない

丸ごと受け入れる度量が私には必要なんだ


帰宅したときのウツウツした気持ちは もうどこにもない

さっそく彼にメールした



『お母さんにお会いしたいな いつでもいいよ 円華』



要からの返信には



『次の土曜日 ウチに来て』




相変わらずの短いメール 


私の覚悟は決まった