5月31日(金) 

 午前6時、起床時間。


 長い夜が、明けた。

 カーテンの外が明るくなると、とてもホッとする。


 蓮はその後、何度か夜泣きをしたものの、大量に吐くことはなかった。




 あと、1日半。


 もう少しだ。




 助産師さんが朝の健診にやってくる。

「S(私の苗字)さん、今日は赤ちゃんを保育室に預けたら、退院に向けて先生の診察があるんだけど」

「はい」

「縫合した場所や、子宮の状態を見せてもらうのね。で、学生さんも見学させてもらっていいかな?」



 え……





 あんまり、良くない。


 ……でも。


「はい、構いません」



 看護学生さんは、とても良くしてくれている。

 彼女の看護実習の役に立つのなら、そのくらい我慢できると思った。


「良かった。赤ちゃんも今日、小児診察を受けて、問題なければ、明日二人一緒に退院できるよ」

「そうですか」

「問題は体重だな。増えてるといいね」

「はい」




 午前7時半、朝食を食べ、授乳をする。

 ミルクはやっぱり20mlで止めてしまった。

 でも、無理強いはしない。

 記録用紙には、30mlと記入した。

 すぐに哺乳瓶を洗って証拠隠滅を図る。



 
 蓮が退院するために必要な体重は、2300g

 昨日の段階で、2229gだった。


 蓮は昨日も、羨ましいくらい快腸だった。

 ちょっと、不安。



 保育室に預けに行く直前、蓮の顔が赤くなった。


 これは、もしかして。


 険しい顔で、踏ん張っている。


「やばい……」



 オムツを開けてみる。




 うんちをたっぷりしていた。



 ショック。

 うんちの分、体重が減ってしまった。





 神様、どうか、2300gありますように。



 もう、神頼みしかない。



 オムツを交換し、保育室に向かった。