5月26日(日) その7


 看護師さんがやってきて、子宮口の開き具合を確認。


「うん、9.5センチ開いてるね。じゃあ、旦那さんと分娩室に移りましょう」


 分娩室は隣の部屋。


「立てるかな? トイレは大丈夫?」


 言われて、「行きたいです」と話す。



 トイレへ。


 あまりの痛みに何も出ない。


 座ったままどうにもならず、唸りながら泣くしかない。

「大丈夫?」とドア越しに看護師さん。



 便座から立ち上がれなくなって、看護師さんにお世話してもらう。

 なんだか介護のよう。



 恥ずかしいって感情は、ある程度の健康状態があって初めて生まれるのだと知った。


 つまり、恥ずかしいだのなんだの言ってられない。



 もう、痛くて痛くてどうにかなってしまいそうだ。






 
 分娩室のドアまで、1mもない。

 なのに、果てしなく遠くて、文字通り気が遠くなる。

 ていうか、気を失いそうだ。






 数名の看護師さんに手伝われながら、分娩台によじ登る。


 着替えた夫も、分娩台の隣でスタンバイ。


 青の着衣姿が何やら面白いらしく、私に笑いかけながら自分の姿を見せようとしている。


 もちろん、コメントできるわけがない。




 と、


「ヌグッツ‥‥‥‥‥‥‥‥‥!」