あたしが中に入れない理由。

それは全員知らない人だから。

あたしは中学卒業と同時に父の都合で田舎から東京の都会へ引っ越してきた。

だから知り合いなんてこれっぽっちもいない。

それにあたしが本当は行くはずだった地元の高校とは規模が違う。

大きくて綺麗な校舎。可愛い制服。

あたしやっていけるのかなー・・・。





「キーン コーン カーン コーン・・・」

やばい!!

初日から遅刻なんてやだよー!!

あたしは必死に走った。

玄関の前で止まっていたのにいきなり走ったからか、歩いていた生徒たちがこっちを見てい

る。

でも今は人の目なんてきにしてらんない!!

「はぁ・・・っはぁ・・・っ」

・・・あれ??

もうチャイムがなってるのになんでみんな歩いてるんだろう・・・。

みんなヤンキーなの?

あたしも歩きたいけど初日から廊下に立たされるなんて絶対に嫌っ!!

廊下の角を曲がった瞬間目の前が真っ暗になった。


「・・・っきゃ!!」

あたしはだれかとぶつかってしまった。

「すっ・・すいません!!大丈夫ですか!?怪我ありませんか!?」

その人は下を向いていて顔が見えない。

でも髪型と身長的に男の人だとわかった。

あたしはぶつかった衝撃でしりもちをついている状態。

男の人はあたしの前に立っている状態。


「・・・あのぉ?」

恐る恐る聞くとその人は顔をあげてあたしと目をあわせた。