紅蓮の星屑


現在バーダーが前線に出らざるおえない理由は……ただ一つ。


生涯、ただ一人と決めた愛するナーラ姫が、二日前に何者かに奪われてしまったからである。


城に侵入した何者かの鮮やかな手口に、始め戦争中の敵国グナンの人間を疑ったが、それなら国王を狙う筈だと直ぐに却下された。


他に何か手掛かりはないかと、宮殿内を隈なく捜索した結果、姫のベッドで手紙を発見したのである。


手紙は、直ぐさまフェオール王の元へ渡され、読み上げられた。


『バーダー将軍の黒の大剣と、ゼーター将軍の白の大剣を交じ合わせよ。ナーラ姫はそれまでこちらで預かる』


激昂したフェオール王は直ちにバーダーを呼び寄せ、相手の意図に謎を抱えつつも、英雄ゼーターを討ち取るように命じたのである。


王から話を聞きいたバーダーは、怒りに満ちたオーラを噴き上げ、愛する姫の安否に心を締め付けていた。


当然、焦りと怒りが身体中を駆け巡り冷静さを失う。


しかし、彼は冷静さを失いながらも、手紙に記された唯一の救いに、全てを賭けたのである。