「その通りじゃ! 大臣、理解してもらえたようじゃな? ホッホッホッ。」
「しかし、閣下! 何故このバーダーなる者に、我が国のシンボルになりえる宝剣を授けるのか、私には理解出来ませぬ! 他に相応しい者もおられるでしょうに……。」
理解しきれない様子で困り果てたという感じの大臣が、そう言う。
それを見たフェオール王は愉快そうに答える。
「ホッホッホッ。だから慌てるでないと言っておる。相応しいかどうかは大剣が決める事よ!」
大臣に視線を向け、声を高らかにフェオール王は叫んだ。
「わしが以前、手にした時にはただの黒い大剣であったが、伝承によれば黒き光を放つと言われておる! さぁ!! グレナーの大剣をこれに持って参れ!!!」
二度目の号令と共に、二人掛かりで大剣が運ばれて来た。
バーダーの前に差し出された大剣は、黒い鞘に収められている。
その風格ある大剣に、全員が固唾を呑み込み、視線を集めた。
