「ホッホッホ。慌てるでない……大臣よ。お主も知っての通り、あの大剣は『邪神ダスカ』から勇者と呼ばれたグレナーが世界を救ったとされる、別名『ゴッドイーター』の異名を持つ大剣じゃ。」
フェオール王は大臣を諭しながら、静かに語り出した。
神から授けられたその大剣は、元々は神々しい光を放つ……白い刃をしていたと伝えられておる。
それが邪神を討ち滅ぼした瞬間に、黒光を放つ大剣になったそうじゃ。
近年、隣国であるグナン国の若き英雄が、経緯は分からぬが……神の啓示と共に白き大剣を手に入れたとされておる。
伝説の残る我が国としては、そのような者に勢いづかせておく訳にもいかぬ。
時に、神をチラ付かせる噂とは味方に力を、そして、敵には恐れを植え付けるものじゃ……。
そこまで話を聞くと大臣は、フェオール王が何を言いたいのか理解したように頷いた。
「詰まり戦において、我が国にも求心力が必要とおっしゃりたいのですな。閣下は……。」
