「そしてバーダーよ! お主には、副将軍の地位と共に武器を授けたいと思うのだが……これは、先程お主に触れてみて気が変わった。」
フェオール王は威厳ある声を王の間に響かせた。
「大臣よ! 宝剣『グレナーの大剣』をこれに!!」
王の言葉に大臣を含め、同席した者全てが驚きの声を上げている。
慌てた大臣は、直ぐに意見をした。
「恐れながら、閣下! 副将軍の位はそれだけの功績だと賛同致しましたが、宝剣に尽きましては如何なものかと存じます! 何とぞお考え直し下さいませ!」
皆が驚くのも無理のない話である。
『グレナーの大剣』とはザラに住む国民であれば、幼い子供でさえも知っていた。
誰もが寝る前、必ず一度は耳にした事のある筈の物語に登場する大剣なのだ。
その物語の中で語られる大剣は、勇者グレナーがその剣を使い、邪神を討ち滅ぼしたとも封印したとも言われている『伝説級』の武器である。
これには、バーダーも声を失う程の衝撃を受けていた。
