紅蓮の星屑


「それはそうと、バーダーよ。ナーラと結婚したいと思っている者達は、山ほどおるのじゃ。」


知っているだろうと国王は、怪しく微笑む。


「だがッ! わしが認めた男じゃなけりゃ、例え政治的な絡みがあろうと娘はやらんぞッ!!!」


声を大にして言い放つフェオール王は、先程とは打って変わり大者の風格を漂わす。


バーダーは国王と知り、どう答えてよいか分からず沈黙する。


その隣りでナーラ姫は直接告白された事に戸惑い、目を泳がせていた。


「まぁ、そんなに固くならずともよい。要は、わしとナーラが気に入れば、それが例え民の者であろうと認めると言う事じゃ! ホッホッホッ。」


そんな国王の発言に目を丸くするバーダーやナーラ姫。


そして、パンサーや警護をしている者達は驚き、アゴが外れたように口を開いている。


それを愉しむように見ていたフェオール王は、突然思い出したかのように言葉を続けた。


「おお、そうであった!? 先程お主の躯に触れて決めた事がある! 表彰式を楽しみにしておるがよい。それでは、後でな……。ホッホッホ。」


言い終わると動揺するナーラ姫を連れて、宮殿へと戻るフェオール王。


「隊長、国王は一体何を決めたのでしょうか……。」


パンサーは青い顔で問い掛けるが、バーダーは沈黙のまま宮殿へ足を向けた。