「な……!?」
再び固まるバーダー。
二人の名前は知っていたのだが、余り政治に興味がなかったバーダーは、国王の姿など遠くからチラッと見た事がある程度であった。
その為、目の前にいる親子は、良くても貴族の人間だろうと甘く考えていたのである。
しかし、それが国王と姫だと言われたのだ。
いくら戦闘バカのバーダーでも自分がとんでもない発言をした事に動揺を隠せずにいた。
そんなバーダーの様子を呼吸を調え終わった国王は見ると、愉しそうに語り始めた。
「ホッホッホ、ゴホッ! ……すまん器官にはいっ、ゴホッ! んっ、ん。」
軽く咳ばらいをして続ける国王。
「オッホン! 失礼……。『風神のフェオール』と戦場で呼ばれていたわしじゃが、歳には勝てんのぉ。危うく心臓が止まるかと思ったぞ! ホッホッホ。」
その穏やかな口調で話していた国王は、次の瞬間、次第に豹変して行ったのである。
