慌てる様子で駆け寄る二人を、バーダーは呼吸を調えながら眺めている。
そして彼の目の前で足を止めた美しい女性は、いきなりバーダーの頬を平手で叩く。
バッチィィンと、宮殿に強烈な音が反射した。
静まり返る宮殿。
遅れて到着したパンサーや数人の宮殿を警護している者達も驚いた表情で固まる。
バーダーも目を見開いたまま頬に手を添え、動きを止めていた。
女性は、お父様と呼ぶ老人に歩み寄り心配そうに声を掛ける。
「お父様。おケガは……おケガはありませんか!? 」
「大丈夫じゃ! 久しぶりに、ゼェ、ゼェ、動いたから、ゼェ、ちょっと、ゼェ、疲れたがのぉ。ゼェ、ゼェ、」
ゼェゼェ言いながら、息も絶え絶えの老人がそう答えると、安心する女性。
