怒り狂ったバーダーは残像が残る程のスピードで、両腕を使い、老人に掴み掛かる。
しかし何度捕らえようとしても、空気を掴まされるばかりだ。
その苛立ちから彼の両腕は更に加速を増して行った。
「ウオラァッ!! アアァァァーーーーーーラッ! ウラウラウラウラァァーーーッ、ダッラァッ!!」
高速とも言えるバーダーの両腕にカスリもしない老人。
一度動きを止め、両者、息を弾ませながら次の動きに入ろうとした。
「待ちなさい!」
突如響いた声の主は、鮮明に記憶に残る程、美しいエメラルドグリーンの髪をなびかせながら、宮殿の方から小走りで向かって来る。
その後ろでは、バーダーよりも前に王宮に到着していたパンサーが、血の気の引いた顔色で何かを叫びながら走っていた。
「たっ、隊長ぉー!? 何て事をなさっているのですかぁーー!!」
