大剣は胸に突き刺すと同時に、バーダーのオーラに耐え切れず砕け散る。
――吐血するラーメ将軍。
「こ、この土壇場で、ゲフッ。真似されるとは、ゲホッ。見事だッ!! バー……ダ、ゴッバッ。」
息絶えるラーメ将軍を見据え、満身創痍のバーダーは力無く、片膝を地面に落とす。
手には大剣の柄を握ってはいるが、刃は付いていない。
五千の戦士達が目をギラ付かせてにじり寄ってくる。
手負いとは言え、将軍を討ち取ったこの男を警戒しつつ、確実に追い込もうとしていた。
バーダーは傷だらけの身体に鞭を打つように、ふらつきながらも立ち上がる。
そして、殺れるものなら殺ってみろと言わんばかりに、気合いを込めたその時である。
「バーダー隊長!!!」
背後から声が聞こえ、同時に砦の門が勢いよく開らかれた。
ザラ国の戦士達が、砦の門から次々と跳び出して来ていたのだ。
近付く敵を払い除けバーダーを抱えると、砦に運ぼうと必死になって引き返す。
バーダーを抱えた者は、待機するように命令されていた男――副隊長のパンサーであった。
「命令違反だ、バカ者…………。」
「後で、幾らでも罰を受けますよ、隊長……。」
そうしてパンサーは砦の中まで引きずるようにバーダーを運び終わると、援軍が到着し、砦は守られたのである。
