「神崎洵(カンザキマコト)です」

動く人形、神崎はそう言った

神崎洵という名前が彼女に似合っていて、妙に納得してしまう

「じゃあ神崎の席そこな」

そう言って担任が指差した先は案外俺と近い

特に女に興味はない

どんな美人に出逢ってもちっとも心揺さ振られなかった俺が

俺の目が、なんだか彼女を追って

俺の心が、彼女を見てそわそわしているだなんて

その頃はまだ、気のせいだと思っていた

そう、その頃は…