「ちょっと、楽譜は持たないの?」


「今更必要ないでしょ。」


「言うわね、強気すぎ!?」


「指揮する千葉を見るの忙しくって、楽譜あっても見る暇ないし。」


「もぉっすぐそういうこと言うんだから。」


「何勘違いしてんの?伴奏者は指揮を見るものでしょ?」


「!! のせっちの馬鹿!意地悪っ。」


千葉は真っ赤になって膨れて先に行ってしまった。


近くで見ていた竹野内が、ニヤニヤしながら話しかけてきた。


「へえ?なんかいい感じだな、部活停止中に進展あった?」


「あああ、まあな。」


「マジで!!」


「みんなに言うなよ、千葉気にするから。」


「ふううん、気にするほどの仲なわけだ。」


「うっせーよ。ほら行こうぜ体育館。」

あの日ぼくらは、たぶん、

好きだって気持ちを確認したと思う。