「のせっち今日休みだって。」


教室に入ってすぐ、横ちゃんの言葉に息が止まった。


「え?」


「まあ、練習用のCDがあるから大丈夫だけどさ。」


「ああ、うんそうだね。」


どうしたんだろ?


朝から、朝練習もあって、

みんながぞろぞろと集まって、

クラスの女子があたしの周りに駆け寄ってきた。


「おはよう、ちょうちゃん聞いたよ転校のこと。」


「もう、水臭いな、言ってよ、そういうの。」


「ごめん、でも、言いにくかったから。」


「そうかあ、そうだよね、自分のからなんて言いにくいよね」


「あのね、能勢くんと竹野内くんがみんなに声かけてて、

 みんなで、合唱盛り上げてやろうって。

 みんなも賛同したんだよ。」


のせっち、昨日そんなこと全然言ってなかった。



「みんな俄然やる気だよ、特に男子!

 あいつらやる気無かったから、

 でも、これでやる気なきゃ、クラス中からハブられるもん、

 まとまれば強いよウチのクラス!


 なんたって、ウチには能勢のピアノ付いてるもんね。

 あのピアノは反則だよね、

 みんなが乗せられちゃう。


 あ、でも今日休みだってね?

 どうしたんだろ。」



あたしは曖昧に笑って、

昨日ののせっちの事思い出していた。


指大丈夫かな?

あれから何かあったんだろうか、

それとも…のせっち傷ついた?


せっかくの貴重な朝練習なのに、

あたしは心ここにあらずだったし、

みんなものせっちの伴奏じゃないせいか、今ひとつ決まらない。


のせっちがいなくちゃ…