そうだった。

あの頃は自信と夢に溢れてた。


たかちゃんのことが大好きで、

そんな大それた夢も絶対叶うって信じてた。


「あの頃は、自惚れてたの。

 自分を過信してたの。

 高校すら希望のところに受からないのに、

 そんなん無理に決まってる。」


小さくなっていく声を拾うように、


「そんなの、ダメ。」


たかちゃんは、

頬ずえ付きながら、あたしを見つめる。


「だ、ダメって…」


「もう、俺の未来の予定表に千葉とのコンサート

 きっちり書いてあるから。」


「そんなこと言ったって、あたしなんか全然ダメだし…」


「二人の夢なのに、もう一抜けしちゃうの?」


「だって。」

「千葉。千葉が描いた未来に、

 俺が乗っかったんだよ。

 俺の夢なんて千葉に聞いてもらうってちっぽけな夢で、

 それを大きくしてくれたのは君なんだよ。

 ちょっと先を歩くけど、

 きっとまた一緒に夢が見られるって俺は信じてるんだけど。」


「だから」


「ダメ?無理って言うの?」


そんな目で見ないでよ。

たかちゃんがそんなふうにあたしとの夢を追いかけてくれてるのに、

あたしは、嫉妬していじけて上手くいかない自分を、

持て余してた。


うつむいてしまったら、前を見るのが怖くなったの。