コンクール会場の、近くのホテルで朝を迎えた。

今日はコンクール当日。

薬が効いているせいだろうか、違和感はあるものの、

大きな痛みはなかった。


制服に着替え、楽譜チェックをしていると


母さんが、


「そうだ、安土さんから預かったわ。」

と小さな箱を差し出した。


「傷バン?」


「そう、何なのかしらね。」


「あ…」


箱を開けると、10枚くらい絆創膏が入っていて、


一枚ごとにシールされている包装が少しづつめくれていた


開くと、


『頑張れたかちゃん!』


『絶対大丈夫!』


『病気に負けないで!』





ふふっ、つい笑顔になってしまう。

まるっこい千葉の文字で、全部違う言葉が書かれてた。


きっと病院の売店で買って、


書いてたんだなって思った。


目覚めないぼくの手を握りながら、


千葉は何を思っていたんだろう?