斉藤が段々私の方に近づいてくる


私は頭が真っ白になり、ひたすら雪降ろしをしていた


逃げれば良かったのに、私の身体は脳から爪先まで麻痺した様だった


テープを返せ…


そんな事を言いながら、ドアを閉めようとした私の前に立ち塞がった


ドアを押さえられ、パニックになった私を無理矢理助手席に押しやった


何処にどう頭をぶつけたのか、耳の上辺りが痛い


私のマフラーで後ろ手に縛られ、車は動き出した


どのくらい走ったのか、町からは遠ざかった所に車は停まった


怒鳴っていた斉藤に少しづつ、なだめるように私は話した


やり直したいと言う事を言っていたが、私は命を守る事で必死だった