アイのカタチ


暫くして突然鳴りだした携帯に神経が動く。

鳴りだしているのは颯のポケットからで、その携帯は颯の手によって取り出される。


「ちょい、悪い」


そう言って、電話に出て話す颯はその場に立ち止まった。

ボーっとする時間。


そしてふと離れた所に見えた自動販売機にあたしは足を進めた。

とりあえず何かを買って待っていよう。


颯の会話は何だか知んないけど長すぎるから、あたしは自販機をジッと見つめた。


「…美鈴?」


そう呟かれた言葉に、案外早く電話終わってんじゃん。って思って、振り向いた先に居た人物に思わず顔が引きつった。

忘れたくても忘れられない顔。


中学の頃からの同級生であたしにいつもしつこくつきまとっていた男。

ストーカー要素のあるこの男。


だから思わず後退りしてしまった。


「おいおい、逃げんなよ」

「な、何?」

「黒沢と付き合ってんだろ?」

「え、何よっ、」


もう一歩、後退りすると自販機がぺタッとあたしの背中にくっつく。

それをイイことに、あたしとの距離を男はグッと縮めた。


…顔が、近い。


「何でアイツ?ぶっちゃけ、アイツ嫌いなんだよな」

「だ、だから?」

「だから別れろっつー事。正直、お前が上の奴と付き合ってた時は別にどうでもよかったけど、アイツだけはムカツク」

「ちょっ、離れてよ」


更にグッと近寄った所為で身体が触れる。