「だったら言わないでよ!」
「あー…いやさ、この前帰りに知らねぇ男が美鈴と付き合ってんのか?って聞いてきたから」
「何で?」
「知るかよ、そんなの」
「で、何て言ったの?」
「だから?って」
「だ、だから?って言ったの?」
「あぁ」
「答えになってないじゃん」
「まぁ別に何もなかったけどよ、気をつけろよ」
「何によ」
「全てにだ」
壁に深く背をつけてベンチに両足を立てた颯は何の変哲もない表情で空に向かって煙を吐き出した。
たまによく分んない事を言うこの男。
横顔から見る顔はあまりにも整ってる綺麗な顔。
そんな横顔を思わず見つめてしまっていた時、
「マジみたいだよ、黒沢くんと美鈴先輩!」
弾けた声に思わずあたしの心臓がドキンと鳴った。
「ちょ、ちょ、ちょっと!!」
慌てて隣に居る颯の腕を引っ張る。と、同時に、
「あっぶねぇなぁ!!」
颯は身体を傾け持っていたタバコの腕を高く上げ顔を顰めた。
「ちょ、静かにしてよ!で、もっとこっち」
そう言ってあたしは端のほうに身を寄せ、颯の身体も近づける。
「つか狭いだろうが」
「今、言ってたよね!あたし達の事」
「だから?」
「ダメだって!見つかったら」
「別にいいだろ」
颯は持ってたタバコを地面に押し潰し、何故か知んないけどあたしの膝に頭を置いて寝転んだ。



