「こっ……。
このままでいい……」


あたしは、もごもごっと口を動かした。


「ふーん。
じゃ、このままで」


キュッと……あたしの手を握りなおす五十嵐くん。


「だけど、俺の腕につかまりたくなったら、いつでも言えよ?」


優しい声でそう言って、五十嵐くんは暗くて長い廊下を歩き出した。