「他に行きそうな場所は?!」
「あ、公園を見てない!!」
いつも娘が遊んでいる公園に駆け込んだ両親の目の前に、空から誰かが降ってきた。
月明かりを受けて光を散らす、銀の髪。
燃えるような赤い瞳。
美しい。
だが…
柔らかい曲線を描く、二本の角…
明らかに人間ではない…
人外の生き物が、片腕に愛しい娘を抱いていた。
「妾は鬼。
そなたらの娘は、今宵妾の餌となる。」
「「?!」」
冷たい声に両親は息を飲んだ。
ナニ? コレ。
ドコの世界に迷い込んだ?
オニ?
オニって… 日本昔話的な?
まさかぁ。
でも、角あるし。
空から飛んできたし。
でも… まさかぁ?
いやいや、重要なのはソコじゃない。
娘が女に捕らえられているのは事実。
誘拐だ…
「光を返せ!!」
父親が、少女を抱くうさぎに向かって飛びかかろうとした。



