めまぐるしく季節はまた過ぎ去り…


枝垂れ桜

あなたが華を咲かせなくなって


もう幾つもの年月が過ぎただろうか



願って


願って


願っても



あなたは華を咲かす事はなく…


あの人も



現れる事はなく…



何故…



どうして?



ずっと

ずっと

待っているのに



約束の日は過ぎたけれど


きっと何か訳があるのだと



いつか必ず来てくれると



ずっと

ずっと


待っているのに…




ねぇ 枝垂れ桜




あなたが華を咲かせなくなったのは


いつの頃からだったか…


いつも紅く 紅く
艶やかに咲き誇る枝垂れ桜…



約束の日を目前に控え

高ぶる気持ちをあなたに話そうと



私が寄り添い


あの人の話しを語らっている時



私から沢山の血が流れ落ちていったね…


あなたよりも鮮明で艶やかで流れゆく
紅…



あぁ


そうね。


その晩にお前は

今までで一番


紅く 紅く 紅く 紅く
咲き乱れていたわね


紅く 鮮明に 艶やかに 妖しく



枝を揺らし

華びらを撒き散らし


ゆらゆらと



咲き乱れていたわね



あれほどに綺麗なあなたを
見たのは最初で最後…


以来…



華を咲かせなくなったのね…