「ごめん、妃絽。妃絽のことを守るって決めたのに…、俺…」



声を震わせ、俯く夏樹の肩に妃絽は額を当てた。



「大丈夫だよ、夏樹…。私は大丈夫だから…」



妃絽の言葉にはいつものような刺々しい感じはない。



それどころか、子供を宥める母親のように穏やかだった。



「私はね…、夏樹。皆の為になりたいって考えてるんだ…。皆の役に立てたなら、こんな怪我大したことない…」



妃絽は目を閉じると、そのまま気を失い、そんな妃絽の頭を夏樹は撫でた。



「名誉の負傷か…」



二人の会話を聞いていた山崎は小さな声でポツリと呟いた。