山崎は妃絽に近付くと、壁に寄り掛かるように座らせ、左腕の治療をする。



「せやから、無理をしたらあかんってゆうたやないか。女の身体に傷が残ったら、どうすんねん」



ブツブツと不機嫌そうにぼやきながら治療する山崎を横目に、夏樹は痛みに耐える妃絽に近付いた。



「馬鹿妃絽…。何、怪我してんの?」



「うるさい…。夏樹のくせに私に説教するな…」



妃絽は怪我をしていない右手で彼を小突く。



すると、夏樹は妃絽の目の前に膝をついた。