「――という訳だ。そもそも池田屋で長州の企てを阻止したというが、我々の方が先に情報を掴んでいたんだ」



「桝屋は怪しいと思っていたんだよな」



他の浪士達も同感というように頷いていた。



その光景に面白いこと思いついた妃絽はフッと口角を持ち上げる。



「ほな、此処でうちから旦はん方に質問どす」



「何だ?」



「桝屋の店主の本名は?」



妃絽の質問に、浪士達は答えようとしない。



「時間切れ。正解は古高俊太郎だよ。何だ、情報を掴んでたなんて嘘じゃん」



妃絽は呆れたように息を吐くと、結われていた髪を解いた。



浪士達の今の感情は驚愕以外何もない。