座敷に戻った妃絽は再び先程の浪士の隣に座った。 「遅かったな。何か、あったのか?」 「いえ、何でも…。それより、うち、さっきの話の続きがききたいわぁ」 妃絽は不服だったが、媚びを売るように浪士に擦り寄った。 上目遣いに紅潮した白い肌の美しい芸妓に見上げられた浪士は固唾を飲み込んだ。 「な、何故、我々が新選組を根絶やしにしようとしているかと言うとな――」 そこから浪士の熱弁が始まった。 妃絽は欠伸を堪えながら、度々浪士の言葉に頷いていた。