「ほな、妃絽はん。行きまひょか」 早速、妃絽は雛菊に連れられ、客の元へ向かった。 着いた座敷には五人程の浪士達がいた。 軽く挨拶をし、妃絽はすでに酔っている状態の浪士の横に座った。 「おぉ、美しい芸妓だ。名は何と言う?」 「緋色どす。よろしゅう」 緋色とは妃絽の芸名みたいなモノで、この座敷に来る途中に雛菊から教えてもらったことだ。 ちなみに妃絽の使っている廓言葉は現代の時代劇や雛菊の使っているモノの見様見真似だった。