「う~ん、分かんないな…」



妃絽は前髪を掻きむしると、溜息を吐いた。



すると、パタパタと廊下を走る足音がする。



「あ、おったおった。妃絽~!」



「山崎さん。何か用か?」



足音の主は同じ監察方所属の山崎だった。



「副長はんが呼んでるで」



「…土方さんが?」



妃絽は土方という名にあからさまに嫌な顔をした。



昨日と一昨日の喧嘩以降、同じ部屋にいるにも関わらず、互いに無関心だった。